第二秘書は恋に盲目

「社長、話があります」

社長室に入ると、社長はソファーにゆったりと腰をかけていた。

「喜べ、笠原。
今日は良い買い物が出来たぞ。一点物の家具ばかりだ。
普段から高級家具に囲まれた人間でも唸るレベルだ」

社長の第一声は、家具の購入を喜ぶものだった。
相当満足したようで、社長がここまで機嫌が良いのも珍しい。
だけど、それがあやめちゃんの笑顔の犠牲の上に成り立っていることをわかっているのだろうか?
あやめちゃんの気持ちを思うと、共に喜ぶことなんて…、私には無理だ。

「それで、話はなんだ?」

あやめちゃんは、こんなこと望んでないかもしれない。槇島さんに言われたように、余計なことしないでって怒られるかもしれない。
だけど私やっぱり、言わないと気が済まないや。