そんなのきいた事がない。だって、世界樹がわたしたちの全てなんだから。

｢あ、あ、起きました……！｣

お医者様らしき男性がわたしを見て大声を上げる。うまく回らない頭にきんきんと響いて割れそうな痛みが頭蓋骨に染み渡る。何が起こったと思いきや、どたばたと足音を立てて、ベッドに寝るわたしを数人で取り囲んで、うーんと唸った。

｢この娘は、うーん、深度は……うまく分からないけど、かなり接続されてるよ、こんなの見たことない。｣

身長の高い女性が急に、深度、接続。知らない言葉を言い出したものだから、もう訳が分からない。うまく喉も動かないし。

｢君の名前は……あぁ、腐敗煙を大量に吸ったのかな。喉が腫れてるよ｣

青年が、冷たく大きな手のひらを、まるで生まれたての雛でも触るかの様に触れ、魔法をかけた？のか。違和感に呑まれていた喉は開放されて、すぅ。と息をする事ができた。

｢じゃあ、後で説明するし……あんたの名前、何……？｣

何よりわたしは厄介事に巻き込まれたのかもしれない。

いや、絶対にそうだ。

｢ん、っ、けほ、けほ。……失礼、しました。わたしの名前は、シャティ・リルケル……です。｣