抱き締められる理由も分からない。 馬鹿って言われる理由も分からない。 「言ってくれなきゃ…分からないよっ」 矢野くんの事、知らない事だらけだから分からない。 超能力者でも無いから、言わなくても分かるなんてこと無いんだ。 「一音一句聞き逃さないから、教えて…矢野くんの事」 どう反応したらいいのか分らないから、弱々しく袖を握った。