二人きりで残された教室
夕日がすごく綺麗だった
少しの沈黙はすぐに敗れた
「好きな人いないの?」
寺川に話しかけられた
寺川だよ、気づいてよ…
でもやっぱり気づかなくていいや…
教室の後ろの名簿を指さす彼
前半?後半?
「こ、後半」
なぜだか答えちゃってるあたし
「そっかー、松川?」
松川はあたしが小学校5、6年の時
好きだった人だった
松川と寺川はバスケ部で
今とても仲がいい
「ううん、違うよ」
人数が絞られてきた頃
寺川が言った
「お、俺?俺なわけないか」
二回繰り返す寺川が
可愛かったのを今でも覚えてる