この一瞬で凍る空気、そして威圧感。


「お前、孫は遊びのつもりか....!」


広大さんが部屋の温度を上げた理由が分かった。


涼しいのレベルじゃない、極寒だ。


1人じゃない....2人分だ。


「親父、殺気はなくさなくてもいいけど威圧感は消してくれない?俺も居づらいんだけど?で、顔上げて。」


この空気感に全く似合わない明るい声のおかげで、重い空気が一瞬で無くなった。


そこにいたのは....。


「初めましてだろうな、おそらく。いや、一瞬しか会ってないから顔までは見えとらんようだな。私が秋本誠一郎。」


「で、高澤様にお会いするのは久しぶりですね。山岸辰彦です。」


「俺は秋本大樹。」


「よく存じております....。」


秋本グループ会長、社長、現警視総監。


「あ、ごめんなさい。遅れちゃったわ。」


急にガチャっと音がして入ってきたのは...。


「あなたはモデルの...!」


YUKI....?


「飛行機が遅れたって聞いて心配したんだぞ?」


美女が山岸様に抱き着き、そのままキスを交わし始めた。


何この空気は....?


「相変わらずだな、お前らは。」


会長があきれたように視線をやると、2人はようやくこちらに戻って来た。


「私、辰彦の妻で山岸雪穂です。」


....え!?


にこっと笑った顔は40歳やっといったというようにしか見えない。


どうりで莉依紗様が美人なわけだ....。