「まだ8時過ぎたばかりですのにずいぶん揃いがよろしいのね...?」


「お嬢様、本日はクラス公表が行われます。あと春休み開けてから最初の日でございますからご友人と語り合いたい話があるのでございましょう。」


理央は私に合図を送った。


どうやら人の集まり方で誕生日会の準備をしていることがわかったみたい。


さすがである。


ちなみに、お姉様の誕生日は土曜日である。


お姉様は不思議そうにクラスを見渡し、私と夏菜をSランク者専用の部屋、VIPルームへ案内した。


「人が多いから移動してもらったわ。ところでユリ。...葵様をお見受けしないのだけど...?」


お姉様に向けていた私の笑顔が少しひきつったのが自分でも分かった。


「春休みに入って何度かメールをしてみたんですけど返信が返ってこなくて...。忙しいのかなと思ってそのまま...。」


誕生日会するみたいだよって連絡したんだけど見れたかな?


特別生は特にだけど参加しないと学園内、会社間の立ち位置に影響が出てくる場合があるらしい。


「....葵様ってユリをそう手放したがらないような人なのに何があったのかしら?」


私の方を詮索するようにじーっと見つめてきた。


「まあいいわ。ちょうどいいものがあるから。」


そう言いながらお姉様はちらっと理央を見た。


「ユリ様、一昨日お嬢様のもとにこちらの招待状が届けられました。ご確認ください。」


渡されたものは触っただけで高級だと分かる封筒。


「これって……もしかして……!」


封筒を見た夏菜は見たことがないほど驚いていた。


白地に何やら家紋のようなマークが斜めに螺旋状になっているデザイン。 


「夏菜さんはわかったようね。」


「えぇ真理亜様。名家の封筒のデザインは我が家が手がけておりますからね。」


お姉様と夏菜は私の方へ改めて視線を当てた。


「高澤家、現ご当主からのパーティーの招待状よ。」