-莉依紗side-


そのあと少しお喋りして、ユリは雷也を連れて帰っていった。


「ユリさんもうすっかり後継者の風格が出ているじゃない。」


「私も...ビックリしたわ。学園に入ったばかりのころは周りの力のある子たちに押されてびくびくしてたのに。なんだか逞しくなっちゃって...。」


子供の成長って本当に早い。


生まれたばかりの子を触るとそっと握り返してくれた。


「あの子には大変な思いをさせてるから...この子はそんな運命をたどらせないようにしたい。」


「そうだね...。」


「ユリは自分で育てることが叶わなかったから。」


2歳になる前には安全な場所へ遠ざけたから。


そのユリに体を張って守ってもらう資格なんか私にはなかったのに...。


ーコンコン


「奥様、失礼いたします。」


理央っぽい声がしたので顔をドアの方へ向けた。


「....理央?真理亜?」


「ご出産おめでとうございます。...なぜ暗い顔をなさっているのですか?」


真理亜は車いすをギリギリまで私のそばまで寄せ、私の手を握った。


「ユリは自分で育てられなかったと思っていたのよ。」


久しぶりに見た真理亜はデュエルのときとは打って変わって明るい表情をしていた。


「それでもユリはあなたを...守りましたわ。」


「...そうね。」


少しは気持ちが落ち着いたかもしれない。