「で、今日こちらにいらしている方々はどなたなの?」


見たことない人が多かったので、すぐに令嬢モード(と夏菜が命名)にスイッチを切り替える。


話し方を変えたのが伝わったのか、お父様たちも態度を変えてくれた。


さっきまでのカッコ悪いお父様の姿はなくなった。


「親父の代わりに雷也が。ユリが会ったことない方は山岸家の方だ。挨拶しておきなさい。」


「分かっておりますわ。」


………この話し方には慣れないな。


「お母様にはいつ頃会えそうなのですか?」


「今りいも休ませているところだから、もう少しかかるんじゃないか?挨拶し終わってもお釣りがきそうだ。」


「じゃあ………行ってきます。竜也さんをお借りしていいですか?」


「……私でございますか?大樹ではなく?」


私に指名された竜也さんは怪訝な顔になった。


「………泣き顔が酷いままのお父様を連れて行くわけないでしょう。」


「………そうか。じゃあ雷也と大人しくしておく。」


ギロッとお父様に睨まれた雷也さんは思いっきり嫌そうな顔、私が指名した竜也さんは嬉しそうな顔になる。


………雷也さん、ごめんね。


「大樹様、ユリお嬢様はちゃんと預かりますから。」


竜也さんは軽く跪いて私の右手にキスを落とし、腰を引き寄せた。


驚いて顔を上げると、絶妙に微笑む美形な竜也さん。


「かっこいい………。」


思わず呟くと、お父様からの視線がますます強くなった。