病院内をくねくねと歩き回ってやっとお母様の病室に着いた。


一泊の値段がお高い個室のある階で、前の私が入院した時に見覚えがあった。


お母様の病室に着いたときには扉に前に人だかりが出来ていた。


「ユリ………!!」


ええっ………ちょっとちょっと!


泣きながら抱きつかないで、お父様!


「妹だ、ユリ。お前にそっくりで可愛い妹だ。りいも健康だ。」


普段ピシッとスーツを着こなして、テレビに出ればイケメンと評されて人気のあるお父様の、鼻水を出しながら泣いている姿なんて見ちゃったらドン引きだ………。


「………お父様。私は喜ぼうと思ったのにそんな顔で抱きつかれて興ざめなんだけど………。」


ワンピースに濡れそうになるのを何とか止めているけど、大人の力には勝てない………。


「「大樹、いい加減にしろ!!」」


竜也さんと雷也さんが困っている私を発見して救出してくれた。


「助かった………。ありがとう。」


「ユリ様にお久しぶりにお会いしたのに大樹様に抱きつかれているところは見たくないですね。」


「ああ。全くだ、雷也。ユリ様申し訳ありません。」


「い、いえ………。」


お父様が男2人に捕らえられているところも見たくないです。


喜んでいるのはいいけどな………。


かっこいいお父様のイメージが一瞬で崩壊した。