会社は18階建てで、専務室は17階にある。


エレベーターを降りてすぐ、秘書さんが待っててくださって直ぐにお兄様に会うことができた。


「昨日ぶりですわね、お兄様。」


「よく来たな、夏菜。ここへは初めて来たんじゃないか?」


「そうですね………。今まで我が家がどういう仕事をしているのかを誰も話してくれませんでしたからね。」


嫌味を含めて微笑めば、お兄様は苦虫を潰したよう。


「………秘書には席を外してもらった。だからそんな対外向けの話し方はしなくていいぞ。」


今まで話してくれなかったことは軽くスルーされた。


「そうだね。話し方を変えないと気を使ってくれたお兄様に悪いわね。………で?私の質問に答える気はあるの?」


来客用の椅子に腰掛けて、お兄様と向かい合った。


「………気が強くなったのかな、夏菜は。まあそれぐらいの気力がなきゃこの世界はキツイけどね。」


お兄様とは6歳離れてるからまだまだ子供に見られちゃうのかな。


「質問に答えようか。我が家がやっているのはそんなに複雑なことじゃないんだよ。

うちは昔から芸道を極める一族だろ?それを世界に広めようとしているんだよ。」


『日本の伝統芸能や特徴、伝統をコラボさせながら世界に広めて新しい市場を開拓する』


「話さなかったのは何で?」


そんなすごいこと………誇れることじゃないの?