「で、今日は俺ら2人なのか?親父もお袋も旅行中だろ?」


今は久しぶりに休みが取れたと親父が喜んでドバイに旅行中だ。


「いや、2人じゃないぞ。………もう少しで来るはずだが………。」


ーピーンポーン


タイミングよくチャイムが鳴った。






「理央様、いらっしゃいましたよ。」


執事に連れられてやって来たのは………。


「遅かったな、何かあったのか?」


「お祖父様に許可をもらうのに必死だったのよ。」


女優帽を外して兄貴に抱きつき、そのまま口づけし始めた。


………昼間っから盛るな。


兄貴たちのキスシーンなんて見たくないんだけど。


しかも兄貴は器用にリップ音を鳴らしながら向かいのソファーに押し倒している。





「兄貴、真理亜様。俺いるの忘れてるだろ?」


そう、来たのは真理亜様。


「もう………いいところだったのに。」


「はいはい、退きますから。」


お前ら元気だな………。


「ねえ、玲央。参考になったかしら?」


兄貴に押し倒され、はだけた襟を直しもせず、俺に話しかけてきた真理亜様。


顔が赤くなったのが自分でも分かってしまった。


「………玲央、今日はここを貸してもらうからな。」


「………睨むな俺を。好きにしろ。」


俺を睨むなら場所を考えろよ、場所を!


俺は兄貴たちカップルの邪魔にならないように素早く家を出た。