「お前の言う通りだ。」


「え?」


家に着き、縁側で話すことになって兄貴が話し始めた。


「親がいないのをずっと割り切れないまま育ったんだよ俺は。だからあんなに手を出したし、お嬢様も壊れてしまったし。」


真理亜様か………。


親で苦労したのは似た者同士なのか?


「今は全く大丈夫だがな。真理亜様以外の関係ない女の連絡先も消したし、携帯も変えたしな。」


真理亜様のことを話す兄貴の目は優しかった。


「表向きは俺が長男だが、実際はお前だもんな。

だから大旦那様もユリ様の執事から外れても何も言わないし、大叔父様も納得しているしな。」


後継者には必ず長男が付く。


そのことを言っているのか、兄貴は。







「で、志穂はいつ帰って来るんだ?」


「1週間くらいだと。おそらく本宅に行ってから山岸家に行くんじゃないか?」


「志穂も大変だな………。」


「だいぶ露出している時点で、あいつもなかなか度胸があるんじゃないか?全く誰に似たんだか。」


「お前が一途すぎるんじゃないのか?」


「………うるせぇな、兄貴。」


妹のことを思いながら話を広げているうちに兄貴も少しは元気になったようだ。