「着きましたよ、玲央様。」
運転手に車を回してもらい、俺は墓所へ来ていた。
「ありがとう。じゃあ駐車場で待ってて。」
「はい、かしこまりました。」
さて、向かうか………。
兄貴は、実は本当の兄ではない。
俺が生まれる頃に兄貴の親が交通事故に遭って亡くなってしまったそうだ。
実際は兄貴はお祖父様の妹の孫で、再従兄弟になる。
このことは夏菜にも、そしてユリにもお祖父様がこっそりお話していると親父から聞いた。
「兄貴。」
お墓の前で静かに佇んでいる兄貴に声をかけた。
「玲央。………まさかお前が来るとは思わなかった。」
「悪いな、志穂じゃなくて。志穂はあれやりに行ったから。」
「もうそんなに大きく………。あいつもすっかり大人になったな………。」
墓石のそっと水をかけている兄貴はなんだか弱々しかった。
「なあ………兄貴が女と遊ぶようになったのって………。」
「………おいおい、そんな話を先祖の前でするのか?」
「悪りぃな。つい口が滑った。」
何か話を変えようと思ったけど何も思いつかなかった。
俺はそっと墓石の前で手を合わせた。
少しの沈黙の後、どちらからともなく車の方へ歩き出した。
運転手に車を回してもらい、俺は墓所へ来ていた。
「ありがとう。じゃあ駐車場で待ってて。」
「はい、かしこまりました。」
さて、向かうか………。
兄貴は、実は本当の兄ではない。
俺が生まれる頃に兄貴の親が交通事故に遭って亡くなってしまったそうだ。
実際は兄貴はお祖父様の妹の孫で、再従兄弟になる。
このことは夏菜にも、そしてユリにもお祖父様がこっそりお話していると親父から聞いた。
「兄貴。」
お墓の前で静かに佇んでいる兄貴に声をかけた。
「玲央。………まさかお前が来るとは思わなかった。」
「悪いな、志穂じゃなくて。志穂はあれやりに行ったから。」
「もうそんなに大きく………。あいつもすっかり大人になったな………。」
墓石のそっと水をかけている兄貴はなんだか弱々しかった。
「なあ………兄貴が女と遊ぶようになったのって………。」
「………おいおい、そんな話を先祖の前でするのか?」
「悪りぃな。つい口が滑った。」
何か話を変えようと思ったけど何も思いつかなかった。
俺はそっと墓石の前で手を合わせた。
少しの沈黙の後、どちらからともなく車の方へ歩き出した。