「鈴原ちゃん、一緒に帰んない?」

「………え?」


帰りのホームルームが終わったとたん、くるっと振り向いてきらきらスマイルでそう言った佐久田穂花ちゃん。


「…え、え、えっ…と」


とにかく、ほかの子の視線が痛いけど、大体が疎らになって、帰り始めている。


「…鈴原ちゃんって、人見知り?」


声を出すことができなくて、ただただ頷く。


「鈴原ちゃんはさ、眼鏡外して、前髪を切って、おさげをやめたら、すっごい可愛いと思うんだ。だから、一緒に帰ろう、ね?いいよね、那留?」

「んー?ああ、いいよいいよ。光樹は?」

「俺は先スタジオ」


私があわあわしている間に、芸能科三人の中で、勝手に決められていく。


「よし!そうと決まれば、コンタクト!」


佐久田穂花ちゃんのその声と共に、教室を飛び出した。