「橘くん?」


自動ドアを出たところに、何故か橘くんが立っていて、思わず声をかけてしまった。


「も、もしかして、傘、ないの?」

「ない」

「ひ、人の心配、してる場合じゃなかったじゃん……」


それにたいして、橘くんは、言い返してこなかった。