「橘くんは百メートルで、穂花ちゃんは借り物競争」 「そっか」 那留くんは、ちらっと校庭を見て、また私へと視線を投げ掛けてきた。 「光樹と、どう?仲良くやってる?」 「え。…や、仲良くはないと思う」 仲良く過ごせている、とは言えないけど、必要最低限の会話しかしない。 隣の席だし、英語の読み合いとか、問題の教え合いとかはある。