「お待たせー!って、空気悪くない?」

「光樹が、泣かせたからー」


穂花ちゃんに、那留くんが笑いながらそう言った。


「またぁ?新人をいじめるなー。ねぇ?実湖?」

「え、えっと……いじめられたわけでは…」

「ありゃりゃ、遠慮しなくていいよ?光樹は毎回おんなじことするから」


穂花ちゃんが、冗談っぽく笑いながら、私の背中をバシバシと叩く。


「あ、光樹も帰る?」

「いい」


これだけのやりとりさえも、冷たい。
橘くんは、冷たい、んだ。