「お前が鈴原実湖?」


いきなり声をかけられて、文字通り、飛び上がる。
橘光樹くん。


「は、はい」

「撮影してただろ?」

「は、はい……。あの、さっき」

「お前が芸能界?ナメてんの?」


頭を鈍器で殴られたような衝撃が襲った。

ナメてない。
違う。私が決めたんじゃ、ない。


「……え、えっと」


言い返せばいいのに、足が震える。

唇も震えて、上手く声が出せない。