人気のない廊下に来ると、美雪さんは口を開いた。 「実湖ちゃん、私と勝負しない?」 「え?」 「学園祭のグランプリ。取れた方の勝ち。簡単でしょ?」 そう言いながら、美雪さんは不敵に微笑んだ。 「私が勝ったら、光輝から手を引いて。二度と近づかないで。その代わり、実湖ちゃんが勝ったら、……婚約は破棄する」 「なんで急に?……そもそも、勝負の内容が……」 絶対に、美雪さんの勝てる内容だ。