「……誰から聞いたの?」 「えっ………美雪さんから…さっき、会って」 「そか」 橘くんがそう言ったっきり、2人の間に沈黙が流れた。 「………まぁ、一応。親と美雪だけが合意してる政略結婚だけどな」 「そ、そうなんだ…」 無理やり笑顔を作ろうとするものの、口角が引きつっているのが自分でも分かった。 「あ、ごめんね、変なこと聞いて」 それだけ言うと、そそくさとその場を立ち去る。 部屋に入ると、雫が頬を流れた。