「あー…しかしいつのだ?ちょっとフライングになっちゃったな…」

「あはは、またお父さんにビンタされちゃうね。……うぷっ」

「おい、大丈夫か」

颯斗の大きな手がまた、私の背中に乗る。

「何度でも殴られるよ。可愛い娘を奪ったんだから当たり前。」

「は、颯斗…」

吐き気に苦しんでいるのに、心があったかくなる。



しばらくして立ち上がったとき、颯斗は心配だからとまた私を抱き上げた。

お姫さまだっこだ、と私がニヤニヤすると、特別サービスだばーか。とそっぽを向かれた。



カツカツと、颯斗の革靴が地面を蹴る音がする。

「お前のそのカッコ、最初に見たときに言いたかったんだけど」

「なあに?」

「すげー…綺麗。
あと…俺と結婚してくれてありがとう。」

「も……ばか、メイク取れちゃう。ばか。」

「ばかって言うな…可愛い。」

「もうっ…もう、飽きられちゃったかと思ってた……」

「俺の気持ちなめんなばか。」

「ばかって言うなあ…」


式場に戻る、と言ったらさすがに怒られて、
控え室に戻る途中係の人に言って両親を呼んできてもらった。