恋のエンジェルは、恋しない⁉

『さぁー、始まりました。
第五十回、山崎高校運動会!』
アナウンスが入り、
体操着に着替えた全生徒は、
音楽と共に、
行進してきた。
一回目は、全男子生徒の、
リレー。
これは毎年、
一番盛り上がるそうだ。
「キャー!景、頑張って~!」
(景って、モテるんだな、、)
恋夏は、胸が締め付けられるのが分かった。
「恋夏~!
次、私たちの番だよ~!」
もうすぐ、お昼休みになるころ。
恋夏たちは、仮装障害物リレーに
出るため、水戸が呼びに来た。
「恋夏ちゃん、このあと
一緒に、お昼食べない?」
塁たちは、恋夏の元にやってきた。
恋夏は、水戸の方を向き、
「いいの?」
と、聞いた。
水戸は、「壟くんと食べるから」
と、笑った。
『もうすぐ、女子、
仮装障害物リレーが始まります。
出る人は、早めに準備してください』
そう、アナウンスが入ると、
たくさんの人が、
動き出した。
「恋夏、急ご」
その時だった。
「頑張れよ」
小さな声だったけれど、
はっきり聞こえた、景の声。
恋夏は、うん、と笑うと、
水戸を追いかけた。