ピンク色の桜が、風に吹かれ、雨のように落ちたころ。

「おめでとう、桜」
「ありがとう、時雨」

綺麗な着物を着た、髪の長い少女は、ぼろっとした着物を身にまとっている少女に抱き付いた。
彼女、桜は、時雨のおかげで好きな人と、今、幸せになっている。
ちょっと前までは、町中で、愛する夫と、娘と、幸せにくらしていて、今は山奥で、一人きり。
その時出会ったのが、桜。
一緒にいるうちに、心が通じ、そして、桜の願いを叶えた。
神にそむいても、、、

この村一番の陰陽師と桜は、結婚させられそうになったのだ。
時雨は、桜をかばい、いまにあたる。
その陰陽師はあきらめたものの、時雨に恨みをもち、呪いをかけた、、、

「ハ、ハ、ハ、、、、」
久しぶりに見た、先祖の夢。
恋夏は、顔にかかるまぶし春の朝日と、胸の苦しみで目が覚めた。
彼女の名前は、三浦恋夏。
今までずっと、男と関わりがなく、女子高だけに通ってきた。
先祖の呪い、それは、初恋の人としか、結婚できない。
そして、「男の人とは、関わってはいけない」と、親の口癖。
だから、恋夏は、男は避けてきた。

そのせいなのか?
恋夏の周りには、女の人ばかり集まった。
そして、友達思いの恋夏は、友達が恋の悩みを相談してくると、徹底的に応援した。
ほとんど、いや、全員、今も幸せだ。
恋夏はきっと、先祖の人の恋を叶えられる力を、受け継いでいるのであろう。
「よし!」
恋夏は、長い黒髪を、下の方で二つに結び、自分の部屋を出た。
「おはよ!恋夏」
恋夏の親は、数年前に亡くなり、今は大きな家で、恋夏のヒミツをゆういつ知り、幼稚園からずっと一緒の、清水水戸。
水戸は、明るくて、恋夏の親みたいな人。
「おはよう、水戸」
二人は一緒に、キッチンへ行き、朝食を作った。
こうしていつもの、二人の朝が始まった。
「恋夏、急いで!入学式、始まっちゃう!」
「うん!」
今日から、高校生の二人。
そして、恋の季節。
二人は、一緒に走りながら、駅へと向かった。

「ねぇ、私の事好き?」
ガタアゴと、電車に揺られて、外を眺めていた恋夏。
電車のドアに写る、カップルを見て、恋夏は深く、ため息をついた。
『人の恋ばっかりじゃなくて、少しは、自分も恋してみなよ!』
その言葉が、恋夏の頭に響いた。
いつか言われた、胸を突き刺す言葉。
「そんなの、無理に決まってるじゃん、、」
恋夏はそっと、つぶやいた。

「水戸、騙した、、、」
高校についた恋夏は、絶句した。
なぜって、恋夏はてっきり、女子高だと思っていたからだ。
「だって、恋夏は少し、男子になれなきゃ(^ー^)」
ごめんねと、手を合わせて、水戸は、自分のクラスへと向かった。
これからさき、私はどうなるの?と、逃げる水戸をみつめた、、、