「…ルイス、リクディムって姓なんだね」


手を引かれながら、ミキナが遠慮がちに言う。

するとルイスは前を見たまま、


「違うよ。そんなの偽名だ。」



ときっぱり言った。



「…えっ!?」

「何だよ。ミキナ達に言ってないのにあんな知らない男に言うわけないだろ?」


自分の前を歩いて口を尖らせて言うルイスを、ミキナはまじまじと見つめる。



「嘘なのにあんなにはっきり言えちゃうのね。」

「…仕方ないじゃん」

「あたし、ルイスは信用しないことに決ーめた。」


ミキナが冗談まじりに言うと、ルイスは振り向いて立ち止まった。



「…どうしても、教えてくれないの?」

自分を見つめる目の前の少年に、今度は冗談ではなく本気で問いかける。


「…………ミキナ…」


表情を曇らせたルイスにミキナは更に畳み掛けた。


「言えない名前なの?そんなのないよね?あたしはルイスがどこの誰だろうと、ずっと友達だよ?」

自分で言っておきながら“友達”と言う単語が引っ掛かったが、今はそんなこと言っている場合じゃない。



「……俺…、俺は……」


ルイスが何か言いかけた、その時。





「襲撃だー!リゼルクの奴等がまた来たぞー!」



先ほどの男のものと思われる馬鹿でかい声と共に、警報のようなものが町のスピーカーから鳴り響いた。





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