「…いい加減うんざりなんだけど…。」
ルイスはミキナを後ろに庇いながら呟いた。
またもや盗賊に襲われたのだ。
(なんだ、俺は盗賊と縁でもあるわけ?)
思わずそう考えてしまうルイスはこの国にどれだけ盗賊が存在するのかを知らない。
まさしく星の数ほどで、どこにでもいる盗賊。
貴族の身なりのルイスと女の子のミキナが狙われてもおかしくはない。
「ルイス、どうするの?」
ミキナが囁き、不安そうにルイスを見上げた。
「あと少しで町だしなぁ。まくよ。」
そう言った瞬間、ミキナの手を取って走り出す。
「あ、逃げたぞ!」
後ろから盗賊の声がしたが、無視を決め込む。
町に飛び込んだ。
「…ハァ。逃げれたっぽい…。よかった。」
ルイスはミキナの手を握ったまま笑う。
しかしミキナは笑わなかった。
「…ルイス…」
恐る恐る前方を指差すミキナ。
その方向を見たルイスはかなり嫌そうな顔をした。
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