「何で、テント張ってないのかな?」


一人でもルイスならそれくらい出来そうなのに。



そのとき、動いたルイスが少し顔を歪めた。




「!背中!」


慌てて地面に毛布を敷き、その上にうつ伏せに寝かせる。

あの時ガラスでできたいくつかの切り傷が、ルイスの上着を赤く染めていた。



「ちょっと、ルイス、ごめんね。」

一言謝り、服を脱がした。


救急セットを取りだし、元から巻いてあった包帯を外す。



「…あれ?」

トゥメニスで見たルイスの傷がまだ残っているのを見て、ミキナは首を傾げた。


「これ、治るのおそいなぁ。もう1ヶ月も経ったのに。」

いつもルイスは自分で包帯を巻いてたから、気付かなかった。


とりあえず、切り傷と一緒に消毒する。



「…う…」

「!」

「…ん…、う…?みきな?」


少しうめいたルイスは、首をまわしてぼんやりした顔でミキナを見た。



「ルイス、大丈夫?痛いよね?」

「…大丈夫だよ」


ぼんやりしながらも、ルイスは柔らかく微笑んだ。


「無理しないで。ジッとしててね、消毒するから。」

「うん。ミキナは大丈夫?」

「え?」

「気絶したろ」


笑うルイスを見て、恥ずかしくなったミキナは真っ赤になった。





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