「な、何でもない。」

「そう?熱あるんじゃないか?赤いよ?」

「大丈夫!ルイスの方こそ、まだ微熱あるんだから寝ないと!」

「う、うん…?」


ミキナの勢いに押され、ルイスは大人しくベッドに横たわる。



「ミキナさ、親、覚えてる?」

「…えっ」

不意に聞かれた意外な質問にミキナは驚いた。


「ごめん。ショウから、聞いたんだ。」

「…そう。覚えてるよ、ちょっとだけど。」

「どんな人?」

「パパは、背の高い優しい笑顔の人。ママは、長い髪の、不思議な瞳の人。」

「不思議な瞳?」

「うん。何だか、色が混ざった感じ。紫と…オレンジが。パパは覚えてないんだけど。」


「…紫」


ルイスの呟きにミキナも気付いた。


「もしかして、ミキナのお母さん。ルナティアの…ハーフだったんじゃないか?」




再び訪れる沈黙。



ミキナは目を見開いて固まっていた。



(あたしの本当のお母さん、ママが、ルナティアのハーフ…?)


でも確かに、まだ赤ん坊のミキナを優しく見る瞳の色は、紫が入っていた。


(紫の瞳は、ルナティアの印。)



なら、あたしは。


「…ルナティアの、クォーター…?」




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