「じゃあ、あの紅い石…、『緋光石』、だっけ。あれは?凄く嫌な感じの石だったけど…。」

少し話題が逸れて安心したルイスは、次の瞬間ミキナの言葉に目を見開いた。

「え?ルイス?」


「ミキナ、今、嫌な感じがしたって…??」


ルイスに驚愕の表情で見つめられ、ミキナまで少しびっくりした。


「う、うん。何か、もや~ってした嫌な感じ。ちょっとだけど気分悪くなっちゃった。」

「それ、本当に?」

「?うん。」


黙り込んだルイスにミキナは焦った。


「な、何、どうしたの?」


「…緋光石はさ、ルナティアにしか害がないんだ。ルナティアじゃない人たちは、何も害はないし何も感じない。」


そこでミキナは何かが変だということに気付いた。


「…あたし、感じたよ?ちょっと、だけど。確かに、感じたよ。嘘じゃないもの。」

「…ちょっとごめん。」

「きゃっ!?」


体を起こしたルイスに急に瞼を上げられ、瞳を覗かれたミキナは心臓が飛び出るくらい驚いた。


(ち、近い、顔が…)


みるみる内に赤くなる。


「………。」


離れたルイスはミキナの様子に首を傾げた。


「ミキナ?」

「え、あ、ごめんっ」

「え?」


急に謝られてルイスは面食らった。




.