月の国



「…ルイスって家出したんだ。」

階段を登りながらショウが遠慮がちに聞いた。

「うん。」

平然と言ってのけるルイス。

ショウは自分より10センチは背の低いルイスをまじまじと見つめた。


「すげぇな。俺もう20歳だけどそんなのしたことねぇよ。」

「たいしたことじゃないと思うけど。」

ルイスは真っ直ぐ前を見たまま言った。

何だか一生懸命何かを頭の中から振り払っているようだ。

「ルイスさ、フルネームは?」

俺はショウ=ノマディスでそのまま族の名前だけどさ、と笑いながら言うワイルドな青年をルイスは見上げた。


「…それさ、答えなきゃダメ?」

「んあ?」

ショウが間抜けな声を出した。

「…あんまり、言いたくないんだ」

「おぉ、そうなのか。まぁ別にいいけどよ!」

笑い飛ばし、ショウはルイスを部屋に案内する。

「ここがお前の客室。右隣は俺の部屋だ。さらにその右はミキナだな。」

さっきから黙り込んでいるミキナにショウが目を向けた。

「ミキナ」

頭をぽんぽん叩く。

「…なぁに?」

ミキナはチラッとルイスを見たあと、ショウに体ごと視線を向けた。

「今日はさ、ルイスに村を案内しよう。どうせ何もすることなかったし。」

ショウの提案にミキナは首を振った。

「あたし、ミナと遊ぶ約束しちゃったの。」

「いいよ、無理に付き合わなくても。行ってきなよ。」

ルイスが優しく言った。

すると何故かミキナはルイスを睨み、ショウにだけ手を振って去って行った。



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