「ルイス様とはどうやって知り合った?」

「あたしのいた村に来たの。」

「なるほど。家を出て最初に行き着いたところか。それはどこだ。」

「…スザン」


ミキナの答えに、ボスレアは一瞬顔をしかめた。


「スザン。あの滅びた村か。ならばお前はノマディス族か?それにしては肌が白いな。」


ノマディス族はほとんどが黒い肌をしている。

ミキナは更に俯いた。


「あたしは拾われた孤児だから。」


(…何でこんなことまで言わなきゃいけないの。)

いつもなら、あの時モナキスとか言う貴族にやったみたいに反抗できるのに。

この人は、怖い。


ミキナの勘が、警笛を鳴らしていた。



「孤児、か。ならば買い取ってやろうか?お前のような女ならみな大歓迎だ。」


まただ。また、『買い取る』。


「…あたしを何だと思ってるの」

「何?」

「買い取る買い取るって…、まるで物みたいに!ルイスはそんなこと言わないのに!貴族なんて、腐ってる!」


震えた声。

それでも懸命に叫んだ。


ボスレアの額に青筋が立つ。




.