「貴族なの?」

ちゃんとした返事を返さないルイスを軽く見上げてもう一度ミキナが言った。

大きなオレンジっぽい瞳と目が合う。

ルイスは少し考えてから、


「…まぁそんな感じかな」

と、笑って答えた。


ちなみに貴族というのは、セレフィアでは位の高い、金持ちの族のことを言う。

「やっぱり。だって、金髪だもん。服も高価そう。」

ミキナがルイスの髪を見てから白い上着を指差して言った。

「金髪は貴族なの?ていうか、この服装、たいしてみんなと変わらないよ」

歩き出したショウに着いて行きながら、少し前を行くミキナに聞いた。

「だって金髪って少ないじゃない?それに、服の素材が違うから。」

ミキナは振り返らずに言った。

「そうかな」

確かに、金髪とかはあんまり見なかったけど。


そうしていると、ショウがあるレンガ造りの建物の前で立ち止まった。

他の小さい木造の民家に比べると、少し大きめで広そうだ。


「ここだ」

ショウはそう言うと、扉を開いて中に入った。
ミキナとルイスの二人も続く。

扉は暗い廊下に続いていた。

その廊下の一番奥の部屋から明かりが漏れている。


「あそこに長がいるの?」

「あぁ、俺らの長がいる。俺らの父さんでもあるんだけどな。」

ショウはニッと笑ってルイスに言った後、明かりの漏れる部屋に最初に入る。

ルイスが自分ももう入ってもいいのか、と立ち往生していると、ミキナが振り向いて手招きした。


あんまり堂々としていても無礼なので、遠慮がちに部屋に入る。


ショウがショウにそっくりな大人の男としゃべっていた。


(うわ~本当に父さんなんだ。そっくり。)


その様子を眺めながら、部屋を見渡した。




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