「どうしたの、ねぇ?」

ミキナが声をかけてもルイスはしゃがみこんだまま俯いて動かない。

しがみついていた体を引き離したミキナはその前に座り、首を傾げてルイスを心配そうに見上げた。


「ルイス?ゴキブリ苦手だったか?」

ショウが笑いながらしゃがんで顔を覗き込む。


途端にその笑みが消えた。


「ルイス!」



しゃがみこんでいたルイスは、片手で口元を覆って青ざめていた。



「おい、どうした?」

「ルイス、吐き気してるの?」


微かに頷くのがわかった。


「まじか?吐きそうか?」

ショウが訊ねると、ふぅ、と息を出してルイスは笑った。


「大丈夫」


「無理しないで、どうしたの急に?」


ミキナが背中を擦ると、ルイスがビクッと震えた。


「え?」


ミキナは自分の手を唖然として眺めた。

ぱしんと振り払われた手は叩かれたところが赤くなっていた。


「…あ、ごめ…」


ハッとしたルイスは咄嗟にミキナの手を引き寄せてそっと覆った。


その手が震えている。



「ルイス…?」





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