「買・い・取・る・だあぁ?!ミキナは物じゃねぇ!」


とうとうショウは男の胸ぐらを掴んだ。

驚いた男はボディーガードに合図して周りを囲ませる。


ボディーガードがショウに手を伸ばしたときだった。



「ショウ、やめなよ」



黙って食事に没頭していたルイスが、声をかけた。


「ルイス!こいつムカつくんだ!偉そうに、何様だ!ミキナを買い取るとか言い出すし!」

「熱くなるなって。ほっといたら」


そう言うと立ち上がったルイスはショウと貴族の男を引き離した。


「すみませんでした。」


微笑みながらも冷たく言ったルイスは、二人を引き連れて部屋に戻る。




「おいルイス!何謝ってんだお前!」

「ああいうのは相手にするだけ無駄なんだよ。うっとうしいだけだ。」


物腰柔らかい穏やかなルイスから「うっとうしい」と言う言葉が出て、ショウは一瞬面食らった。


「あたし、ああいう人なんかに絶対買われないんだからっ」

ミキナは膨れながらルイスに手をひかれ、派手に音を立てて階段を登る。



「捕まったりしたら殺してでも逃げてやれよ!」

ショウも膨れてミキナに言う。




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