「…ショウ」

ジャンケンをやっと理解したルイスが、何かに気付いてショウを呼んだ。

「何?」

「ミキナ」

ルイスの指差す先には、木陰でうずくまるミキナがいた。

ショウは慌ててそこへ向かう。



少し二人の様子を眺めてから、ルイスはゆっくり歩み寄った。


ミキナは泣いていたようだ。

今はぐすっと鼻を啜りながら、ルイスから目を逸らしている。


「ミキナ」

ミキナの視線に合わせようと、ルイスはしゃがんだ。

「ジャンケンしよ」

少し驚いたミキナはルイスを見る。

彼は少し微笑んで右手を握りしめ、ジャンケンの準備をした。

「……。」

ルイスをしばらく見つめてから、ミキナも手を握りしめルイスの真似をした。

「…ジャンケン、ぽん」

ルイスの声。

ミキナはチョキを出して勝ち負けを確認しようとしてあっと声をあげた。



ルイスのパーにした手のひらに、大好きなあの飴がちょこんと乗っていた。



「この飴…」

「ミナのお母さんがさ、くれたんだ。ミキナが好きだって言うから、誕生日のプレゼントとしてあげようと思って」

にっこりと笑ったルイスは今度は飴の袋ごと出してミキナに差し出した。



「…ありがとう」

すぐに笑顔になるミキナ。

「うん、ジャンケン俺の負けだから、トゥメニス行こうな」

「いいの?」

「いいのか?」

ミキナとショウの声が重なる。

ルイスは「いいよ」と言いながら、仲のいい二人を見て笑った。




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