「ならさ、もうジャンケンしろって」

呆れ果てたショウは仲良く喧嘩する二人にそう言った。

するとそれぞれ別々の反応が返ってくる。



「負けたら嫌だものっ」

「ジャンケンて何?」



…………………。



「…ルイス君?今、何て?」

ミキナが怒りを忘れて目を見開き、ルイスを見た。


「え?だから、ジャンケンって何…」

「お前ジャンケン知らねぇの!?」

今度はミキナではなくショウがルイスを見た。


「…知らないよそんなの」

少し拗ねてしまったルイスは小さく呟いてそっぽを向いた。


「いいか?ジャンケンてのはな…」

ショウがかなり詳しく丁寧に教えだした。



その隙にミキナはテントから出る。




「何よ何よ何よっ、馬鹿ぁ」



ジャンケンの驚きから解放されて、怒りがまた戻ってきた。


「あたし達の気持ちなんて一個も考えてないんだからぁ。
あたし達がお父さん一生懸命探してるのに、嫌いだから行きたくないなんてっ」


プンプン怒りながらも、不安が出てきた。



(…お父さん大丈夫かな。怪我してないよね…?早く会いたいよぉ…。)


だんだん悲しくなってきた。


(これも、ルイスのせいだ。)



ネックレスを握りしめ、ミキナは木陰で丸くなって泣きはじめた。









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