「盗賊、意外と弱かったな。やばいかもって思ったんだけど。」


金髪の少年は高原を南に下っていた。
少し汚れた白い上着をパンパンとはたく。


「やっぱ、盗賊も本当にいるんだな。知らなかった。」


薄い綺麗な紫の瞳で空を見上げた。


「…街を出たのはいいけどどこに行こう。」


少年は家出した。

住んでいた街からも出た。

15歳の男の子がそれをするのには、物凄い度胸と勇気がいるだろう。


「お金は持ってきた。でも宿に着かない。困ったな~」


全然困った様子には見えない少年は鼻唄を歌いながらさらに南下して行く。


「南には…確か、遊牧民が拠点にしてる村があったよなぁ。」

頭の中の地図を広げる。



この国は、月という星にある。

大昔にどこぞの星の住民が移住してきたという話だ。
その人達は色んなものを持ってきて、長い年月をかけてここに国を作った。

それが、月の国『セレフィア』。

国とは言ってもそれ以外月には海しかないから、もうこの月自体が国のようだ。


「遊牧民ノマディス…」

知り合いは、いない筈。


「よし、決めた。遊牧民のいる村、スザンに行こう。」


決意新たに歩いて行く。



「…どれくらいかかるんだろう」


呟いた少年は水筒の中身を見た。


「…大丈夫だよな」




少年はまた歩く。






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