大きな大きな月。

綺麗な綺麗な月。

これは、そんな月にある国でのお話。





「よぉ、坊っちゃん一人かい?」

首都の近くの高原。
そこで男三人は一人で歩く少年に声をかけた。

「うん。そうだけど。でも坊っちゃんじゃないよ。俺15歳だから。」

声をかけられた少年は少しムッとして答える。

くしゅっとした長めの金髪が揺れた。

「あぁ、悪かったな。可愛い顔だが、確かに坊っちゃんには見えねぇ。

どうしたんだい?迷子かい?」

「迷子ではないよ。家出したんだ。」

少年は余裕をかまして微笑んでみせた。

「そうかい。俺らに着いてくるか?何でもしてやるよ。」

「本当に?」

「あぁ、本当にだ。来いよ。」

男はそう言うと三人で詰め寄る。


少年は笑顔のまま、薄い綺麗な紫の瞳で三人を見た。


「…俺さ、盗賊には興味ないんだ。」


少年の言葉に驚く三人。


「ち、バレたか」


舌打ちし、目で合図をした三人は一気に襲いかかってきた。



「そっちからしたんだからね」



 ――――――――


しばらくして、盗賊は目を覚ました。

さっきの場所に、三人揃って伸びていた。



「…くそ…高価そうな格好してるから、いいカモだと思ったのに。」

「あのガキ、やたら強いな。金持ちは訓練でもされてんのか?」

「俺が知るかよ。この国は貧富の差激しいしなぁ。」


盗賊三人はため息をついた。


「「「いいカモだったのになぁ…。」」」




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