「…俺は…直接お前に言って欲しかった。お前のこと…」


呟いたショウにすら顔を上げず、ルイスは少し震えただけだった。

それから小さく唇を開き、体と同じく震える声を紡ぐ。


「…ごめん」






「ルイス…行かないでよ」


手錠をはめられ、チェルスがルイスを馬に乗せようとしたところで。


ミキナが小さく、本当に小さく囁いた。


その場の全員の動きが止まる。



「行かないで…お願い。あたし、ルイスともっと一緒にいたい…」


ポロポロと涙を溢し言うミキナの肩に、ショウが優しく手を置いた。

そのまま兄の方もルイスを見据え、しかし何も言わず彼の言葉を待つ。


「ミキナ…、ショウ」


やっと二人の顔を見たルイス。


彼は二人の名を呼ぶと、綺麗に微笑んだ。






「ありがとう」











その言葉を最後に、ルイスは二人に背を向ける。


チェルスに頷いてみせると、馬に乗った彼の後ろに腰を下ろした。



小さくなっていく影を、ミキナは呆然としたまま見つめる。


ショウは悔しそうに歯を食いしばり、ミキナと共に最後までルイスの背中を見送ったのだった――…