物心ついたとき、あたしは自分に親がいないということに気がついた。

あたしは赤ん坊の頃にあたしが今暮らしているここ、試衛館の前に捨てられていたらしい。

そこであたしはこの試衛館道場の3代目である勝太さんに育てられている。

「勝太さん!おはようございます!」

あたしはいつも通り勝太さんに挨拶しに道場へ行った。

「おぉ、おはよう、雪生(ゆき)」

捨てられていたとき、紙にあたしの名前が書かれていたらしい。

姓はわからない。