ある夜…


私はいつも通り部屋を抜け出して、駆け足で丘に向かった…



ふいに、途中で私のスピードが落ち、ついには立ち止まった。

(え??)


いつもの特等席に、見知らぬ男性が座って居たのだ…。



この辺りでは見かけない風貌の男性に、私は少し怯えながらも、その場に立ちつくした…。



いつものように、いつもの場所に行きたかったけど…


でも、その男性の存在が気になって、すんなりとは特等席には行けなかった。



ここで、他人(ひと)と会ったのは、初めてだ……



今までは、誰とも会うことが無かったから、自分だけの特等席だと思って居たのに…。