「盗賊はアイリス様とおつきの方々を売り飛ばす為、船に乗せ、密輸しようとしたんです。 けど、船が出向して暫く経った頃、天気は崩れ嵐になります。 操船を誤り船は座礁し、多くの死傷者が浜へ打ち上げられるんです。 殆どの人は溺死ですけど、アイリス様は違います」

「どういう事だ」

「嵐の前に、船の中で発作を起こし亡くなります。 元々お身体が弱いのでは?」

「……そうだよ。 これは城のものしか知らない事だけど、アイリスは身体が弱くて気分転換も兼ねて隣町の医師の元へ定期的に通っているんだ。 今回もその帰りの事だった」



そうだったんだ……。


こんな事になったらただでさえ心配なのに、生まれつき体が弱いなら尚更心配だよね。


今度は私からランスロット王子の手を強く握った。



「大丈夫。 大丈夫だよ」

「エヴァ、居場所まで分かるか?」



ドミニク王子……。



「信じてくれるんですか?」

「君は唯一私に媚びも売らず、噛みついてくる女性だぞ? いつも真っ直ぐぶつかってきてくれる君を疑うよりも、信じる事の方が安易な事だ」



いつもの自信満々の笑み。