私が立ち止まると、ランスロット王子も立ち止まり振り返った。



「……泣かないで」

「ごめ、なさい……」



私よりもランスロット王子の方が泣きたい筈なのに……。


けど、止めようと思って止まるものじゃなくて、涙は情けないくらい溢れた。


するとふわりと体に温もりが広がった。


私を抱きしめるランスロット王子の腕は優しくて、こんな時にも関わらず、相手を思いやるようだった。


もっと早くに駆け付けるべきだったと、やっぱり後悔した。



「捜索に出た部隊が早く帰ってこないかって、ずっと窓から外を見ていたんだ。 そしたらエヴァの姿が見えて……来てくれてありがとう」

「『ありがとう』なんて言わないで……私、もう少しで貴方にっ、酷い事をするところだった……っ」

「エヴァ?」



体が離れ、風が通り抜けていった。


手で頬に着いた涙を拭い、顔を上げるとランスロット王子と視線がぶつかった。