夢見のさだめ

優しいって……私が?



「……どうして?」

「昨日の嵐は貴女のせいではないのに、花たちの為に悲しみ、涙を流しているんでしょう?」



涙?


手首で拭うように頬に触れると濡れていた。



「私のせいよ。 嵐が来る気がしていたのに、この子たちをそのままにして帰ってしまったから」

「この学校で、この花壇を気に掛けている人はどのくらいいるんだろう。 きっと簡単に数えられるくらいだと思うよ。 それなのに誰かが自分の為に泣いてくれるなんて、凄く幸せな事だ」



相変わらず声はか細く頼りないくせに、どうしてこの人の言葉は温かく感じるんだろう。



「……ありがとう」



気付けば口からお礼の言葉が零れ落ちていた。



「お礼を、言わなければいけないのは僕の方だ」

「え?」

「停電になる前に、妹の傍に居てあげられたから、妹が怖くて泣かずに済んだんだ。 貴女が予感を教えてくれたおかげだ。 本当にありがとう」