明らかに手作りのしおり。


押し花にされたセラスチウム。


ふと、放課後のランスロット王子とのやり取りを思い出した。


あの時言い掛けてた“しお……”って、もしかして“しおり”の事?


このしおりを探してたの?


気のせいじゃなければ、この花って私が渡したやつだよね?


ど、どうしよう……。


そうかもしれないと思うと、ニヤケが止まらない。


これって期待してもいい……のかな?



「嬉し過ぎて目が覚めちゃった……」



本そっちのけで、手に持ったしおりをただ見つめた。


にやけてしまう顔も気にしないで、穴が空くんじゃないかってくらい見つめた。


あの時の花をこうして大切にしてくれている事、必死に探してくれていた事、しっくりくる言葉が見つからないくらい嬉しくて、胸が高揚してる。


まるで自分が大切にされている様な、そんな錯覚を起こしてしまいそうだった。