~ガヤガヤガヤガヤ~
「誰だ?あの綺麗な人」
「え、かわいい、!」
「てかあの窓から叫んでる子って3組の」
「あー、あのイケメンね」
俺は急いで教室を出て階段にほとんど足をつけないで滑るように降りた
走った。
凛子さんだ、凛子さんがいる。
校門まで走った。
凛子さんはちょっとまだ息が切れていた。
俺も息が切れていた。
「‥‥お待たせ‥‥。間に合わないと思ったけど‥‥来ちゃっ」
凛子さんが話し終わる前に俺は体が動いていた。
小さかった。
7年前、俺が必死に見上げた凛子さんが今、
俺の腕の中にすっぽりと収まっている。
「つ‥‥つば‥‥さくん?」
「あ!すいません!!」
何してんだ俺!
ぱっと手を話すと凛子さんは下を向いて「ううん」と答えた。
‥‥可愛いなぁ‥‥
「‥‥ちゃんと間に合いましたよ‥‥。後夜祭。あの時と変わらない、足速いですね、凛子さん。」
俺は凛子さんの左手を取って歩いた。
すると同時に曲が流れた。
後夜祭のダンスの曲だ。
「翼くん‥‥あの‥‥私‥‥今日‥‥」
「何も言わないで下さい‥‥」
何故か凛子さんの言葉を遮ってしまった。
他の男の話なんて‥‥
「‥‥今は何も言わず、俺と踊ってください。」
そう言いながら凛子さんの手を握り直すと、
「‥‥はい。」
凛子さんも俺の手を握り返してくれた。