「ジン…。」

 

 そっと、貴方の頬に手をそえる。


  涙が出そうになるのをぐっとこらえて、ジンの瞳を真っ直ぐみる。

 
 気づかれないように無理に笑顔を作って


「今日、買い物いってきていい?」


「どこに…」


「ショッピングモール」


「昨日行っただろ…。」


「新しい下着買いにいきたいの…。ダメ…?」


「送ってく。」


「ううん。バスでいってくる」

「…。」

 不満そうに口を閉ざしたジン

「たまにはバスでいきたいの。ダメ…?」


「早く帰ってこい…。」


「わかった…」


  ごめんねジン。

 私は結局、ジンを傷つけることしかできない。

 
  必要最低限のものを鞄に詰める。

「いってくる…。」

  なんとなく『バイバイ』って、言っちゃったらジンにばれるような気がした。


 もう最後だと思うと、泣きたくなってくる


  そんな顔を見られないように、そっと扉に手をかける

  

「リノ…」


  後ろから聞こえた、大好きな声


「早く帰ってこい…。」


  そして、その声に返事することなく歩き出す。