魔女に恋した王獣




 ベッドの上で、ジンの股の間に座っている私

 そういえば。前から気になっていたことがあった。

「ジン…」


 私のお腹に手をまわして、携帯を弄っているジン

「あ?…」


「ジンの両親って、何してる人?」

  お兄さんの話は聞いたことがあるけど、
両親の話は一度も聞いたことがない

「いねぇよ。」


「えっ」


  亡くなった、とか…?

「親父は俺が小学の時、毎日俺や兄貴、お袋を殴ってた。」

  えっ…

「小学四年の時、お袋が親父に刺されて死んだ。」

  悲惨な出来事を何もなかったかのように話すジン

「それで親父が捕まって、兄貴と二人きりになった。」

  その時まだ小学生だったジンには、とてもつらかったはず…

「そんな時、兄貴が家にシイナをつれてきた。」


  小さいときからシイナさんと知り合いだったんだ…

「大切な奴を作りたくなくて、ずっとあいつを無視してた」

  『大切な奴を作りたくなくて』、それが幼かったジンができた自分を守る方法


「それでもあいつは、しつけぇくらい話しかけてきて。もう作らねぇって決めてたのに、いつしかあいつが俺の中での、大切な奴になってた。」

 それほど、ジンにとってシイナさんはかけがえのない存在になってた


「シイナを好きってことに気づいてすぐ、兄貴が死んだ。」

  ジンのたった一人の家族が、目の前で車にひかれて二度と帰らぬ人となってしまった

「その時、兄貴が仕切ってた族がNobel Beastだった。」

  お兄さんがジンに残した最後の想い
 
「兄貴が死んで、もうぜってぇ作らねぇって決めたのに、あいつらといるとほっとけねぇんだ…。」


 無口なライ。ちょっとバカなナオ。リーダー的存在のヒナタ。俺様なリヒト。
 明るくて、かわいくて、バカなミオ。


  ジンのお兄さんは知ってたんじゃないかな…。

 ジンが、もう大切な人を作ろうとしないことを。

 だから、シイナさんをつれてきて

  Nobel Beastをジンに残した


 大切な人を作って、幸せになってほしい。

 それが、ジンのお兄さんが最後に望んだことなんじゃないかな…