魔女に恋した王獣




 そして、もう少しで

 唇と、唇がくっつくと思ったとき

 開いていた私の視界から、ジンの顔が消えた


 それは、ジンが近づけた私の顔から顔を背けたせいで。


 私は最後、貴方に触れることさえも

   許されなかった…



 耐えきれず、瞳からあふれでる涙

  その涙が、顔を背けたジンの頬に落ちる


それに気づいたジンが、ハッとしたように私に視線を向ける




「わりぃ…」


 
   そっとジンの顔から顔を離す



「わりぃ。」


  もう一度謝ったジンに


「大丈夫、大丈夫。」


  そう言うことしかできなかった


 『大丈夫』そう言っていないと、自分が壊れる気がした

 『大丈夫』そう言っていないと、ジンを責めてしまうような気がした



『私はやってない、ジンのお兄さんを殺したのは私じゃなく、あの人。私は関係ない』

   そう言ってしまうような気がした。


 でも、本当にそんなことを言ってしまったら自分は、ただの救い用のないバカになってしまうのが嫌だった


 ジンの記憶の中の自分だけは、そうなりたくなかった、

 ジンが一瞬でも好きになったリノでいたかった