『お待たせ!ごめんね。』
『ううん。大丈夫だよ。行こっか。』
私達は手を繋いで学校を出る。
学校内から見えない死角に入ると、すぐ手を離した。
『…はぁー。今日も終わったね。』
『うん。そういえば話って何だったの?』
『あー、…友達の圭介がさ、お前ら名前で呼ばないの?って…、でも、日野さんに強要させるわけにはいかないからさ、俺が…その華音って呼んでもいいかな?』
気まずそうにそういう倉橋くん。
『…ははっ!なんだそんなこと?いいよ、私も翔くんって呼ぶよ。』
『…ありがとう。わがままでごめんね。』
『ううん!倉橋、じゃないや、翔くん今日バイトだよね?』
『うん、ごめん。今日は送れないけど大丈夫?』
『大丈夫だよ。それに、恋人ごっこは学校内だけ、でしょ?』
そう、私達は
『学校内でだけ』恋人ごっこをしている。
その理由はひと月前に遡る。

