「-----あ、あっぶねぇ…。」

「ほ、本当…危な…。」






------で。




朝からげっそりしながら
律樹の車で会社に出勤。


彼の車があって本当に助かった。


無かったら今頃2人で一緒に遅刻-----









「…あれ?サユリ…と、部長??」

「へ---。」







会社の前で息を整えていたら
後ろから 聞き覚えのある声。



…も、もしかして…








「…や、やっぱり…。」

「珍しいですね〜、2人が朝一緒にいるなんて。」







いつも部長の方が早いのに〜!

と 事を全て察したように
ニヤニヤする彼女は---恋愛マスターのマユコちゃん。



まさかこんな初っ端からバレるとは…。









「もしかして、2人ってそういう仲なの?」

「えぇっと…そ、それは…。」






そんなんこっちから言わせんでも
分かってるんだろー!!と

泣きながらマユコちゃんの肩をブンブン揺さぶりたい私の気持ちを察したのか



律樹があの"王子スマイル"で代わりに対応してくれた。







「うん、そうだよ。
俺たち結婚を前提に付き合ってるんだ。」

「…え?!?!」








-------は?!え?!






彼の予想外の回答に

私とマユコちゃんが互いに目を見開く。




け、けけけ結婚を前提に…って…







(そんな言葉一言も聞いてないんですがーーー?!)








と 固まっている私の肩を抱いて
ははは、とキラキラ優雅に笑顔を向けている律樹。


ポカーン、と立っているマユコちゃんをよそに
彼はそのまま私を連れて会社の中へ入っていく。








「……あ、あの、律樹サン…。」

「何だ。」

「…さ、さっき言ってたことは一体…。」







大げさに言いたい症候群?

それとも何かセットで勢いで言っちゃったとか?






(とりあえずあの言葉は何かの間違いで-----)








「俺はそのつもりだ。
真剣にお前との結婚を考えてる。」








-------はないようですね。